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2015年10月28日 (水)

どこまで何を言うか

池ちゃんは、病気のことをなかなか他の人に言いませんでした。ってか、私にも再発から一年、黙っていました。どんだけ辛かったか。どんだけ我慢したのか。その気持ちを思うと、心がはりさけそうになります。



私は豊島オケの人たちには、一度、会いに行ったほうがいいのではないか?特に、一緒に旅行に行った人には病状を伝えてみては?と何回か提案しました。



池ちゃんは「でも、今の私をみたら、きっと皆がびっくりするだろうから」と言って、かたくなに阻みました。「池ちゃんは池ちゃん。何も変わっていないのだよ?」と言っても、首を縦にふることはありませんでした。



職場の人に対しては、さらに言い出しにくかったようです。そんな折、私が登壇した毎日新聞メディカルカフェのミニ講演に足を運んでくれました。私は職場のグリーフについて話をし、「自分は死んでも、周囲の人には生がある。その生を健やかにするために、自分自身が参加するグリーフがあり、職場の人に気持ちや病状を伝えることもありでは?」という話を、私は池ちゃんに語り掛けるつもりで言いました。
数日後にメッセが届き、「思い切って、今日、職場へ休職の挨拶へ行ってきます。」と連絡がありました。私は「池ちゃんの今の気持ちを添えてね。きっと伝わるから。」と送りました。



夕方、池ちゃんから「職場に行ってきました。勇気だして、言ってきて、良かったです。ありがとう。」とメッセが届きました。折り返しすぐに電話をすると、「そのままでいいから・・・ってみんなが言ってくれた。嬉しかった。本当にありがたいと思った。」と号泣しながら話してくれました。



入院をしたときにも、Cさんとかに伝えないでいいの?うちの旦那には伝えてもいい?といったら、「ホルンのおじさんはいい」と。当初、本人は退院する気まんまんだったし、Cさんのような医療関係者は学会が重なるいまの時期が一番忙しいことを十分、身をもって承知していたからの気遣いだと思いました。亡くなる二日前にも電話会議があり、会議の30分前にオプソ10mgを投入、息を整えていました。痛々しかった。



なぜ自分のところに連絡がないのだ?と思う人がいるかもしれません。でも、それは、池ちゃんがあなたのことが大好きだからです。大好きで、大好きで仕方がないから。そして、心配をさせたくないから、言わなかったのです。きっと、「池ちゃん」であって、「がん患者の池ちゃん」というように思われたくなかったのかなと思います。ふつう通り、今まで通りの池ちゃんでいたかったのかな。



誰にどこまでどういうかは、本当に難しい課題で、正解はありません。でも、そこには「思い」があるのです。









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