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2015年10月28日 (水)

納得

酸素パニックの一件があってから迎えた金曜日の朝、トイレに行きたいというので、いつもの定位置にポータブルを運びました。もうこの頃には池ちゃんから排泄係を許可されており、「すんだ感じ?」と声をかけると「うん」と返事がありました。私は、着替えに必要な準備をしてナースコールを押し、ふと視線を落とすと、目の前に真っ赤な血が見えました。



え?



やがて、ナースがきて着替えをしましたが、ナースもそのことに気が付きました。あれ?と。そして、担当医が確認をしました。下血でした。明らかに便の外ではなく、中に血が混じっていました。
私はそれをみた瞬間、あああ、もう身体の中はこんなに悲鳴をあげていたんだ…と思いました。その後、担当医から大腸の下部で内出血をしている可能性が高いこと、出血によりヘモグロビンが減少すると酸素がさらに辛くなる、それは致命的にもなることから、止血剤を加えることを提案されました。そして、内服(一日3回2錠)か点滴(一日30分)か、どちらがいいか確認されました。すると、池ちゃんは内服を選択しました。「え?」と私は思いました。せっかく、24時間の点滴モルヒネに変えて、内服の煩わしさが減った矢先だったのにと。
でも、30年前、大学時代にプラチナ製剤を使ったことがある池ちゃんは点滴が嫌だったのかもしれません。ろくな制吐剤もなかった時代のプラチナ製剤…考えただけで気が遠くなります。





このとき、がんばっていた池ちゃんの肩の力がちょっと抜けた気がしました。



私は午前中に仕事があったので、雑談の後ハグをしてからそのまま出かけ、昼過ぎに病室に戻りました。池ちゃんの様子は、ちょっと飛ばしすぎではないか?というほどハイになっていました。モルヒネやステロイドの影響もあったかもしれませんが、いつもとは違うハイテンションぶりが心配でした。
担当医にもそのことが心配だと伝えましたが、「酸素が足りない状況が手伝っているかも」とのことでした。



そしてサプライズ。私のFBをみていた友人がお見舞いにきてくれました。それもバルーンと皿回しをもって。突然の訪問にびっくりしていましたが、皿回しをし、、、バルーンをもらって大喜びをしていました。そこへ、お世話になっていたY先生が登場(前の夜も朝も寄ってくれた)、「何、何やっているの?!!」と満面の笑みで、池ちゃんから皿回しを譲り受け、回していました。15分程度の短い時間でしたが、皆んなの気がほぐれた最高の時間でした。



そして、17時ころにサプライズ二回目。今度は、音楽隊です。
実は前の晩、9時過ぎにY先生がきて、三人でいろんな話しをしました。そして12月のパーティーで披露する音楽を「内緒ね」と聞かせてくれました。その曲を届けるために、病室へ電子ピアノを運びこみ、みんなで歌ってくれました。その後、チャプレンさん達とともに、皆でお祈りをしました。朝の憂鬱は消えていました。本当に最後の力を振り絞っていたのだと思います。



夕方に担当医のカンファレンスがあり、これまでのいろいろな話をしました。なぜY先生と接点があるのかという話になり、積極的な治療をあきらめたときの決断や迷い、そこまでの道のりについて振り返りをしました。



「ご家族もしらなかったでしょう?」と。

こういう共有がとても大切だと思いました。当事者が参加できるgriefだと思いました。池ちゃんも縁が縁を結び、偶然が偶然をひきよせ、今ここにあることを話してくれました。そして、その日の夜は妹さんが泊りました。



今となっては、家族全員がそろったあの数時間が、本当に大切な時間だったと思います。

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